脱原発候補 細川護煕さんの第一声です。
11分11秒からは小泉純一郎さんの応援演説です。
細川護煕さんの公式ホームページ
http://tokyo-tonosama.com/
2014年東京都知事選挙 細川護煕候補 第一声全文
(午前11時20分 都庁前)
皆さんおはようございます。いよいよ今日から、これからの国のゆくえ、あるいは東京のゆくえ、あるいは私たちの生き方にも関わる、大事な選択の機会がやってまいりました。私はたくさんことを訴えたいんですが、1つは絞って言いますと、1つはちょっと抽象的になりますが、価値観の問題とでも言ってもいいのかと思います。2つ目は、平和に関わる問題。これもちょっと抽象的な言い方かもしれません。オリンピックとかいろいろなことがあると思いますが。それから3つ目は原発の問題。主にこの3点にことについて、私は今回の都知事選で都民の皆さま方にお訴えをしていきたいと思います。
最初の価値観の問題というのは、私は政治の世界を引いてから15年余り、田舎に引っ込んで、焼きものをしたり、絵を描いたり、庭いじりをしたりして過ごしてきました。しかし何か、国の進めているさまざまな施策というものをときどき新聞を見て、テレビを見たりして感じておりましたのは、どうも少し私の考え方とずれているのではないか。例えば、日本の人口は今、1億3,000万人ですが、あと50年すると9,000万人になる。100年たったら4,000万人になる。4,000万人と言えば江戸時代の人口です。江戸時代の人口とほぼ近い。そういうことになると、これは今までのような大量生産・大量消費、そういう経済成長至上主義というもので、果たして日本という国はやっていけるのかどうか。私は難しいと思います。
これからは原発をあちこちの国に売り込んだりするような、そういう欲張りな資本主義ではなくて、もう少し、自然エネルギーとか、脱成長とか、そうした心豊かな生き方というもので満足できるような、そうした国づくりというものを進めていかなければならないのではないか。それが価値観の転換と申し上げた、1つの大きなテーマです。心豊かな幸せの成熟社会へのパラダイムの転換をしていかなければならないじゃないか。私はそう思っております。
特に私が心配しているのは、今度の知事選挙への立候補のきっかけにもなったんですが、成長のためには原発が不可欠だと言って、原発を再稼働させようとしている国の姿勢。このことに私は強い危機感を持って、そのことが今日、ここに来ていただいている小泉さんにも強く背中を押されて立候補をするきっかけとなりました。それが1つの私が申し上げる価値観の問題です。
もう1つは、これも多少抽象的な話ですが、大くくりに申し上げて、平和と言ってもいいかと思うんですが、今度の選挙のテーマはもちろん原発だけではありません。都政に関わるさまざまな問題、いつ来るか分からない直下型地震に備えての基盤の整備とか、あるいは高齢者や待機児童の問題。さまざまな問題にできる限り急いで、メリハリをつけて対応していかなければならない。それも当然のことであります。
外国とのさまざまな問題。オリンピックはまさに平和の祭典でありますから、都としても善隣的な近隣諸国との付き合いというものについては、いつも知事は念頭に置いておかなければならないことだと思います。オリンピックは、しかしかつての東京五輪のように大きな投資をして、大きな建物を造ってというわけにはいきませんから、できるだけコンパクトな、しかしソフトな面でおもてなしの心というものを十分に感じていただけるような、そういうオリンピックにしていかなければならないし、また、東京だけがいい思いをするのではなくて、東北の人たちにもぜひ一緒になってオリンピックの果実というものを分かち合えるような、そういうオリンピックにしていかなければならないと思います。
もう1つ、最後の問題は原発の問題です。私は国の存亡に関わる大きな事故がいつ起きるか。本当にこれは不安で仕方がない。福島の事故がありましたけども、東京の周辺、100キロ、200キロぐらいのところには浜岡とか、あるいは東海第二とか、いくつかの大きな原発が立地しています。もしそういう原発が大きな事故を起こしたら、これは日本は壊滅的な打撃を受ける。日本だけではない、世界中にその影響が及ぶことは必至であります。ですから、一刻も早く原発再稼働というものをやめて、世界の先進国がやっているように、自然エネルギー、あるいは再生エネルギーなどを活用した、分散型のエネルギー社会というものを作っていかなければ、日本は成り立っていけない。そういう方向に早く踏み出していくべきだと思います。
オリンピックや、消費税や、いろいろな問題があるんですけど、もちろんそういう問題も原発の事故が起きたら、そんな問題はもう一遍に吹き飛んでしまう。知事の最大の任務は、第一の任務は、都民の生命と財産を守ることです。原発は都政のテーマではないと言う人たちもいますけども、都民の生命と財産を守るということは、これは最も重要なテーマでありますから、これが今度の選挙のテーマではないということは、私はまったくおかしな話だと思います。
この間の福島の事故のあとも、水道が止まったり、停電になったり、都内の一部では大きな問題が起こりました。迷惑をされた方々がたくさんありました。その原発依存型のエネルギー多消費型社会というものを先ほども申し上げたように180度方向転換して、新しい時代に対応するものにしていかなければならないと思います。3.11が起こるまで、私も原発は安全でクリーンだということを信じてまいりましたが、しかし、この事故によってそれがいかに欺瞞であるかということが明らかになりました。原発がなければ日本の経済は成り立たないという人がおりますが、2年間原発が止まっていても日本の経済は順調に回っております。
もちろん、石炭、火力などの燃料代というものを、相当かかることは分かりますが、しかし、原発には実は天文学的なコストがかかっている。事故のあったときのコスト、あるいは廃炉にするコスト、いろいろな点で天文学的なコストがかかっている。それが見えない形で国民の負担にされて、原発のコストは安いというごまかしがまかり通ってきました。原発の安全性の問題や、核のごみの問題を考えたら、原発とは早くここで区切りをつけて、欧米の先進国がやっているように、自然エネルギーなどに変えていくほうが、よほど生産的だし、新しい雇用や技術を生み出していくきっかけになると思います。今ここで原発ゼロの方向というものを明確に打ち出して、再稼働に向けてスタートを切っていく。自然エネルギー大国日本というものを打ち出していくということが、何よりも大事なテーマだと思っているわけです。
もちろん、東京都は東電の大株主でもありますから、東電に対していろいろ注文もつけていかなければならない。その東京で原発ゼロを目指すことは、先ほども申し上げたように今度の選挙で都民の皆さん方に問うべき、それこそ重要なテーマだということを重ねて申し上げたいと思います。この間、小泉さんからも話がありましたが、原発をなくして再生エネルギーで活力のある日本をつくっていくか。それとも今までのコストの高い、リスクのある原発というものにしがみついて、日本という国の衰退にかけるか。そのどちらを選ぶかという、今回は大事な選挙であります。
私は、原発をやめて、自然エネルギー、再生エネルギーなどで日本の未来にかけていく。そういう方々の先頭に立って、日本の新しい国づくりに邁進していきたい。そのように思っておりますので、どうぞ都民の皆さん方の、少しでも多くのお力添えをいただけたらありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、小泉総理にバトンタッチいたします。ありがとうございます。
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