菅直人さんが、2012年10月に幻冬舎から出した本の紹介です。
本文より
原発問題は哲学である
3.11の福島原発事故を体験して、多くの人が原発に対する考え方を述べている。
原発をめぐる議論で思い出すのは、昨年(2011年)の第一回の復興構想会議冒頭に、哲学者の梅原猛さんが、今回の原発事故は「文明災だ」と看破されたことだ。
原発問題は単なる技術論でも、経済論でもなく、人間の生き方、まさに文明が問われている。原発事故は間違った文明の選択により引き起こされた災害と言える。であれば、なおさら、脱原発は技術的な問題というよりも、最終的には国民の意思だ。哲学の問題とも言える。
わたし自身も。3.11原発事故を体験し、人間が核反応を利用するのは根本的に無理があり、核エネルギーは人間の存在を脅かすものだと考えるようになった。
他にも、二号炉の圧力抑制室(サプレッションチェンバー)に穴が開いていなければ格納容器が爆発していた可能性があったことや、四号炉では工事の遅れにより事故当時、原子炉上部のプールにも水が満たされており、衝撃などの理由でその水が燃料プールに流れ込んだため長時間冷却できたことなど、いくつかの偶然によって最悪のシナリオを避けることができたことにも触れています。
一読の価値がある書です。
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